■一歩先行くハーレーカスタム【第23回】工具・ライトメンテナンス編

みなさん、車載工具をちゃんと車載してますか?

ハーレーは振動が多いので、ボルト・ナットの緩みから思わぬトラブルにつながるケースがあります。また、プラグ被りやヒューズ切れなどは、いつ誰に起こるか分かりません。

そんなとき、車載工具がないと、何時間も立ち往生した挙げ句、レッカー移動という悲しい結末になりかねません。それなら、最初から車載工具を積んでおいたほうがいいですよね。

充実した車載工具があれば、自身の愛車のトラブルだけでなく、ツーリング仲間の役に立ったり、もしかしたら、初めて会う人を助けてあげられることもあるかもしれません。

(夕暮れ、海沿いの道)
路肩にバイクを駐め、エンジンをのぞき込んでいる女性が見える。年齢はわずかに30を過ぎたあたりだろうか。薄暗いなかでも、容姿の美しさは見てとれる。車両は、ハーレー XL883Rだ。

「どうしました?」――近くにバイクを駐め、声をかけてみる。
「実は、かくかくしかじかで・・・」
さりげなく車載工具を取り出し、涼しい顔で処置を施し、エンジンをON。
「これでもう、大丈夫ですよ」

この後、ハーレーと一緒に、二人の恋が走り出すことは間違いありません。

妄想はこのへんで。
今回は、いざと言うときに役立ち、いざと言わないときも持っていると安心な「車載工具」について解説していきましょう。

■短距離ツーリングでも車載工具は必須!

車載工具は、出先でバイクにトラブルが起きたとき、自力で対処できるだけの工具をまとめたもの。たとえ、近場でのツーリングでも何が起きるか分からないので、車載工具は常に携行するようにしましょう。ご存じかと思いますが、ハーレーの工具は基本的にインチサイズです。国産バイクの人に工具を借りようと思っても、ミリサイズなので互換性はありません。無理やりミリサイズの工具を使うと、最悪の場合、ネジ穴をナメてしまい、余計にややこしいことになるので要注意です。

もちろん、「車載工具があれば大丈夫」ではありません。特に遠方へのツーリングの際は、出発前の点検を欠かさずに!

■持っておくべき!定番の車載工具・ツール

車載工具は、各種レンチ(モンキーレンチ、アジャスタブルレンチ、コンビネーションレンチ、スパークプラグレンチ、バッテリーターミナルレンチ、ヘキサゴン)、ドライバー、プライヤー、タイヤエアゲージなどで構成されるのが一般的です。

たとえば、右はクルーズツールズの車載工具セットですが、トルクスやヘキサゴンなど、ハーレーで使われている主要なサイズだけが厳選された優れもの。コンパクトなので携帯も楽ちんです。

>>クルーズツールズ スピードキット車載工具セット

とはいえ、車載工具で対応できるトラブルには限りがあります。様々なトラブルに備えたいという方は、車載工具を増やしていくのもいいですね。たとえば、応急用タイコや結束バンドなどは、いざというときに重宝しますし、自宅での整備時にも活躍します。工具ではありませんが、予備プラグや予備ヒューズも携行しておくべきパーツです。


>>応急用タイコ

スロットルケーブルが切れてしまった場合など、
応急処置として使用するタイコです。


>>結束バンド

超万能ツールの結束バンド。ケーブルを
束ねるだけでなく、様々な活用法があります。


>>(写真上) フォールディングトルクス/ヘックスキット

>>(写真下) アウトバッカーH13フォールディングツールキット

様々な工具が手のひらサイズに!
ポケットに忍ばせておけば、
いざというときの安心感が違います。

■工具箱をもっと充実させてみませんか?

ガレージをお持ちの方などは、車載工具だけでは不便を感じることもあるでしょう。工具箱に、たとえば以下のような一般工具を仲間入りさせてみてはいかがでしょうか?

ガレージに気の利いた工具があるだけで、作業はグンとはかどりますし、メンテナンスはさらに楽しくなるはずです!

6角頭のボルト&ナットを回すときに使うレンチセット。一方は早回しに便利なスパナ形状、もう一方はしっかりトルクをかけられるレンチ形状になっています。

>> 11ピース インチコンビネーションレンチセット

6角穴のボルトを回すときに使うレンチセット。片側がボールポイントになっているため、角度を付けたまま回すことができます。

>> 9ピース L型 インチボールポイント六角レンチセット

6角頭のヘックスボルト&ナットを回すときに使うソケットセット。6角タイプのソケットに比べて細かく角度を変えられるので、狭い所での作業に向いています。

>> 14ピース 3/8差込角 12角インチディープソケットセット

世界屈指のガスケットメーカー「JAMES」のワイヤーブラシ。あらゆる用途でヘビーローテになること間違いなしの優れものです。

>> ステンレス ロングブラシ

配線を剥くためのワイヤーストリッパー。簡単&きれいに配線を剥くことができるうえ、配線切断用のハサミまで付いている憎いヤツです。

>> ワイヤーストリッパー

◎ジャッキアップからメンテナンスの達人へ!

オイル交換やタイヤ交換を自分でやるなら、ジャッキが欠かせません。

左のジャッキは、ネオファクトリーオリジナルの商品。小型でありながら十分な強度を誇り、ナロータイプなので使用箇所を選びません。チェーンのメンテナンスは格段に向上します。ショップ様はもちろん、一般の方もガレージに常備しておきたいツールです。

当たり前のようにジャッキを使うようになったら、あなたもメンテナンスの達人です!

>> ネオファクトリー ナローセンタージャッキ

■ガスケットシーラーはGASGACINCH(ガスガシンチ)がおすすめ!

工具以外にも整備に必要なものはたくさんあります。その一つが、ガスケットシーラー。そして、ガスケットシーラーならGASGACINCH(ガスガシンチ)で決まりです!ガスガシンチは、ガスケットシーラーひと筋で50年以上のカリフォルニアの老舗メーカーです。その品質の高さは随一で、世界中のメカニックから支持され続けています。

◎しっかり染み込む!

一般的なペースト状のシール剤はエアポケットが発生しやすいのが弱点ですが、ガスガシンチはこの弱点を見事に克服。液状のシール剤で流動性が高いため、小さな亀裂や凸凹にもしっかりと染み込みます。ヘッドガスケットやオイルパン、ラジエターホースの接続部など、漏れが発生しやすい箇所にぜひ!

◎素材を選ばない!

ガスガシンチは、炭素鋼、合金鋼、アルミニウム、チタン、鉛、マグネシウム、合成および天然ゴム、銅、コルクなど様々な素材に使用できます。また、バイク・車に限らず様々な産業機械に使えます。

◎簡単に剥がせる!

ガスガシンチは硬化するとゴム状に変化するので、指で擦るだけで簡単に剥がせます。ガスケットを剥離するために、削ったり薬品を使ったりする必要はありません。

>>ガスガシンチのガスケットシーラー一覧はこちら

■自分でいじるのが好きなら特殊工具(SST)も!

整備もカスタムも自分でやりたいという方は、特殊工具(SST)が必要になってきます。特殊工具と言うと、プロユースのイメージがあるかもしれませんが、個人で持つ方も少なくありません。特殊工具があれば、メンテナンスもカスタムもますます楽しくなるはず! 愛車との関係を深めていきたい方は、ぜひチャレンジしてみましょう。

◎たとえばこんな使い方

オイルシールを打ち換えるシーン。汎用の工具だとシールが変形してしまうおそれがあるのでSSTの出番です。 ブルーの工具がJIMS社のSST。これを使うことで、オイルシールを均一に圧入できます。



>>ネオファクトリーで取り扱う特殊工具一覧はこちら

■ネオファクトリーおすすめの工具メーカー

Lisle(ライル)

創業はハーレーと同じ1903年。アメリカの歴史ある工具メーカーです。一般工具だけでなく特殊工具(SST)も豊富で、プロショップからプライベートメカニックまで幅広く支持されています。国内では大手ツールサプライヤーも取り扱っており、自動車メーカーや工具メーカーへのOEM供給も行っています。

>>ライルの工具一覧はこちら

CruzTools(クルーズツールズ)

カリフォルニアに本拠を置く工具メーカー。ハーレー用の車載工具・携帯工具をメインに取り扱う一方で、ギターやドラムなど楽器用の工具や、航空整備用の工具も手がけています。使いやすさとともにリーズナブルな価格帯が魅力です。

>>クルーズツールズの工具一覧はこちら

JIMS(ジムズ)

エンジンからトランスミッションまで製造するカリフォルニアのパーツメーカー。ハーレー専用の工具でも有名で、過去にハーレー社へ専用工具を提供していた実績もあり、クオリティーは一級品。高い信頼性でプロショップからサンデーメカニックまで幅広く支持されています。

>>ジムズの工具一覧はこちら

Genius Tools(ジーニアスツールズ)

1975年創立の工具メーカー。アジアを拠点としながら北米にも進出しており、カナダのプロフェッショナル・クオリティツールの賞も受賞しています。ソケットレンチやコンビネーションレンチセットが主なラインナップ。納得のクオリティと適正なプライスを両立しています。

>>ジーニアスツールズの工具一覧はこちら

TRASHDEPT(トラッシュデポ)

オリジナルパーツ製作に力を入れる日本のメーカー。オリジナリティあふれるパーツや、痒いところに手の届く便利な工具を取り扱っています。なかでも、本革を使った車載工具は人気。

>>トラッシュデポの工具一覧はこちら

■愛車のトラブル、自分で解決できますか?


ハーレーの楽しみ方は人それぞれです。伝統ある高価なバイクなので、「所有する喜び」もあるでしょう。もちろん、自分好みのハーレーに仕上げていく「カスタムの喜び」もあります。それだけでなく、自分で愛車のトラブルを解決したり、不調を改善したりする「メンテナンスの喜び」にハマっていく人もいます。はじめはオイル交換だけでも、そこからメンテナンス魂に火がつき、自分でできることを増やしていって、工具にもこだわるようになり、メカニック顔負けの知識・技術を身に付ける人もいます。

「ちょっとした不具合で工賃払うのはバカバカしい」とか、「出先で故障したとき大変だった」とか、メンテナンスをはじめるきっかけは様々ですが、自分で最低限の整備ができるようになると、常に愛車の状態を把握できるようになります。そうなると、「どこにトラブルが起きがち」といった傾向も分かるようになり、万が一の際の準備もしやすくなります。


何より、不調・トラブルの原因を突き止めて解決できると、達成感というか充実感というか、ただバイクに乗っているだけでは味わえない喜びを得られます。というわけで、まずは車載工具を揃えることからライトメンテナンスをはじめてみませんか?

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